中塗土 引きずり仕上
アールの形状の鏝で水もをもった土の表面を波立たせて仕上げる。
表面がポロポロ落ちやすいが、土の柔らかい魅力が増幅されていると思う。
中塗り土切返し仕上
ひだしスサの静かな存在感が上品に感じられる。
土というものは、本来一番身の回りのどこにでもあるありふれたものといえるが、
人が丁寧に扱い、心をこめることによって凛とした空気感を生み出すのだと思う。
ただ、土だけでは空間が本当には魅力的にならない。
やはり丁寧に扱われた石や、木や、鉄、などと調和したとき初めてその真価を発揮するように感じている。
黒大津
大津という仕上げは、「二分押さえ」ともいって、材料のベースは土であるが、全体の2割程度消石灰を混ぜて強度を持たせた材料を鏝で押さえて仕上げたものである。
土がベースになっているためか、漆喰の鏝押さえよりも幾分印象が柔らかい。
黒皮つきの鍛鉄や古材と組み合わせて使ってみたい。
しっくいパラリ仕上
消石灰を水と反応させて固まったものを砕いて、粒にしたものがパラリである。
パラリの粒を漆喰に混ぜて鏝で撫でて仕上げる。
鏝で押さえないため、表情が柔らかくおおらかで力が抜けた魅力がある。
混ぜる粒の大きさによって印象が変わる。
最初に好きになった仕上げの一つ
桃山錆土の大津
この仕上げを初めて見たのは、たしか、ある千家十職の家の坪庭に面した壁のものでした。
苔の緑とともにヒノキの素木の柱に調和している姿に心を打たれました。
とてもフレッシュで爽やかな印象があり、いままでにない種類の感動でした。
赤錆土の切り返し仕上
土の仕上げというは、私の考えでは、基本的に脇役で、シュートを打つ人というよりパスをする人であり、つなぎあわせ調和させる役割を担っているように思う。
赤錆土ももちろんその例に漏れないが、土の中では特に華やかにいろいろなものと調和する力を秘めている。
例えば、銅製の雨トユや、錆びた鉄や、紅柄塗の木部なんかには色彩的にドンピシャで調和する。
和ろうそくの炎と和装のある空間にもあうだろう。
マコンデのアフリカの彫刻がならんでいる空間なんかにもあうだろう。
いつかこれを使う日が訪れるのが楽しみで仕方がない。