Concept
お施主さんは60歳代のご夫婦
終の棲家として、平屋の生活のしやすさと共に
庭に面した軒下の空間や落ち着きのある佇まいを求めていらっしゃました。
敷地は駅が近く建物が建て込んだ場所にあり、便利な反面、周囲の景色には恵まれていませんでしたが、小さいながらも生活の中で庭を楽しめる家を目指しました。
南に庭に面したゆったりとした空間を作り、道に面する北側に控えめな佇まいを持つ建物を作ることを考えた結果、軒を低く抑えた北側の玄関と庭に面した南側のリビングを廊下が結ぶシンプルな切妻屋根の家となりました。
プランはいわゆるマンションのような中廊下型ですが、廊下においてはリビングから続く床のヒノキ板の張り方向を揃え、光をきれいに通す木製の格子戸と電動開閉のトップライトの存在により、風と光が抜けていく機能的でかつ気持ちの良い空間となっています。
LDKのインテリアは張り方向を揃えたヒノキ板と障子を通した柔らかい光が基調となり、清楚で温かみのある空間となっています。
大きな軒下空間となるデッキが、リビングの延長になるように接続し、中からは実際以上の空間の広がりを感じさせます。天気の良い日は、庭と一体になるこの場所が最も気持ちの良い場所です。
玄関は、来客を迎えるための玄関と駐車場からのアクセスが良い日常使いの玄関を設けています。
裏玄関には、ポストや傘掛け、靴棚の機能をコンパクトに集約させました。
玄関は、障子を通した光が壁にあたり、お茶室のように密度の高い空間になっています。
上がり框には、名栗の板、土間には今では珍しい釜で焼いた焼きムラのある敷瓦が使われていています。