Memo

大地の再生の視点から考えるこれからの建築のあり方

一つ、確かに言えることは、
今までの建築は、人間だけのことを考えて作られてきました。
しかし、残念ながら、人間側の都合を100%満たすために、無思慮に作ることは、建物周囲の自然にとっては、劣悪な環境となります。
具体的には、例えば、コンクリートの擁壁や、防湿コンクリートやベタ基礎によって、建物周囲の土壌の水と空気の流れが遮られ、
そのことによって、土中の菌糸のネットワークが生まれず、樹木や、虫や、微生物の暮らしが大きなストレスを受けます。
そして、人間都合の厳しい環境に適応できる生き物ばかりが繁茂するように変わっていきます。
じめっとして、よどんだ空気となり、蚊ばかりが大量に発生するような環境です。
すなわち結果として、家の周囲の環境が、人にとっても不快な環境となってしまうわけです。
本当の意味で、気持ちの良い住環境を作るためには、建物周囲の自然環境が健やかでなければなりません。
健やかな環境というのは、多様な生物がお互いにスクラムを組んで調和している状態です。
しかしながら、現代の建築の世界の常識で作られた一般的な住宅は、周囲の自然を押さえつけるようなあり方になっているために
建物周囲の環境しいては、住環境自体の健やかさが大きく、犠牲になっているのが現状です。
このことは、まだまだ、認知されていないことを大変残念に思い、多くの人に知ってもらいたい気持ちです。
そういうわけで、
家を建てる時にまずしなくてはいけないのは、プランを考えることではありません。
まず第一に必要なことは、風の流れや敷地の水の流れ、そこに生息する生き物や植生や土壌についてよく理解することです。
敷地に流れてくる水が、その土地に生息する微生物から、虫や樹木といった多様な生命にとって、しっかりと恵みになるようなありかたにする必要があります。